2021/11/22 (MON)

チャプレンより聖書のことば

「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」
(ヨハネによる福音書第18章37節)

立教新座中学校・高等学校チャプレン 石田雅嗣
教会の暦では、11月21日の日曜日が1年の終わりの日曜日となります。次の日曜日から「降臨節」(アドヴェント) というキリスト誕生を迎える準備のシーズンに入り、新しい年を迎えます。この一年の最後の日曜日は「降臨節前主日」と呼ばれていますが、「聖霊降臨後最終主日・キリストによる回復」と呼ばれることもあります。今週の聖書から「回復」ということに思い巡らしたいと思います。

「わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た」とありますが、実は、ヨハネによる福音書には、他の3つの福音書に比べて、「真理」という言葉が非常に多く出てきます。そして、もう一つ、他の福音書に比べて、圧倒的に多く使われている言葉があります。それは、「愛(する)」という言葉です。ヨハネによる福音書は“真理の福音書”“愛の福音書”だと言っても過言ではありません。そして、この2つは密接に結びついています。真理とは愛に関わることです。そして、ヨハネによる福音書における愛の頂点が次の御言葉です。

「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」
(ヨハネによる福音書第3章16節)

神は、お造りになったこの世のすべてを愛しています。この世の人を一人ひとり愛しておられます。そして、“あなた”を愛しておられます。一度、この聖書の「世」という言葉を「あなた」で置き換えて味わってみてください。例えばこうです。「神は、その独り子をお与えになったほどに、あなたを愛された。永遠の命を得るためである」

神様は、その愛を示すために、ご自分の独り子イエス・キリストを、この世にお遣わしになり、人間として生まれさせました。主イエスを通して、ご自分の愛を、ご自分の真理を表すためです。その神の御心を、よく分かっておられるからこそ、イエス様は言われるのです。それが、今週の聖書の言葉です。

「わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た」。

それは、イエス様が、すべての人を分け隔てせず愛され、最後は、ご自分を処刑しようとする人とさえ、戦わず、反抗せず、彼らの罪を背負って、その人々をも愛されて、十字架の上で死なれたのです。すべてを包み込む愛を、神の愛を、十字架の上で証しして逝かれたのです。それが今日、本当の王であるキリストの回復として、私たちが心に留めるべきことです。11月21日の日曜日は、教会の暦の最後の日曜日というだけでなく、王なるイエス様が、神と人との断絶、人と人との断絶、あらゆるものの関係の回復のためにこの世に来られた主イエス・キリストを強く記念する日曜日でもあるのです。間もなくクリスマスシーズンにあたって、このことにも思いめぐらしてまいりましょう。

2021年11月22日

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