「きょうだいがあなたに対して罪を犯したなら、行って二人だけのところでとがめなさい。言うことを聞き入れたら、きょうだいを得たことになる。聞き入れなければ、ほかに一人か二人、一緒に連れて行きなさい。すべてのことが、二人または三人の人の証言によって確定されるようになるためである。それでも聞き入れなければ、教会に申し出なさい。教会の言うことも聞き入れないなら、その人を異邦人か徴税人と同様に見なしなさい。よく言っておく。あなたがたが地上で結ぶことは、天でも結ばれ、地上で解くことは、天でも解かれる。
(マタイによる福音書第18章15~18節)
立教新座中学校・高等学校チャプレン 倉澤 一太郎
「その人を異邦人か徴税人と同様に見なしなさい」をいかに解釈するかでイエスの意図が大きく変わってしまいます。当時のユダヤ人の慣習では異邦人や徴税人は関わることを忌避する存在でした。異邦人はユダヤ教の神を信じない異教徒であり、ユダヤ人にとっては先祖代々の仇、滅ぼすべき敵です。また徴税人はローマ帝国の皇帝や総督の代理人として徴税権を振るい、多額の手数料を上乗せして私腹を肥やしたため、同胞を虐げる裏切り者としてユダヤ共同体から関りを絶たれていました。両者に共通するのは共に関わってはいけないとされる対象であった点です。この流れでイエスの言葉を解釈しようとすると、教会の言うことも聞き入れないような人は相手にするな、交わりから追放せよと解釈出来てしまいます。実際多くの教会で信徒同士の対立が発生した際には、この聖句を根拠にして多数派が少数派を排除することが起こり、「異端」とされた人たちが迫害されることが繰り返されてきたと言えます。
現代の私たちにおいても仲間内の平穏を保ちたいがために、和を乱す存在と見做した人たちを排除することは珍しくなく、排除という手段は私たちにとって選び易い解決策なのかもしれません。では、人間を良く知るイエスは私たちの苦労を察して言うことを聞かない人を排除することを是として下さったのでしょうか。でもそうすると前半の努力、先ず二人だけで話し合う、誰かを伴って話し合う、教会に関わってもらうという努力とは矛盾します。三度も努力したから諦めてよいと言われる訳でもないようです。なぜなら、イエスこそ当時の人たちが罪人と呼んで交わりを避けていた徴税人や律法で規定の病の患者、異邦人たちに近寄って積極的に交流していた人だからです。徴税人や異邦人と同様にとの言葉は関わらない対象という意味ではなく、自分が常識と考えているユダヤ教の価値観を相手が共有しているはずと思って話し合うなということかと考えます。
私たちも誰かとの対話で、自分と相手の価値観や倫理観が同じと考えて話し合ってもずれが生じて話し合いにならないことがあります。まず相手を知ることから始めなさいとの意に解釈すれば、間違いを犯した人との関係を切らず、徹底して関係修復のために務めよとイエスは言われたのです。私たちが地上で結ぶ関係は天でも結ばれ、地上で絶つ関係は天でも絶たれるから簡単に諦めるなと教えられたのでしょう。最近の世界や日本では自分たちと異なる文化に育った人たちを価値観が合わない人、平穏を破壊する存在と見做して排除する傾向が強く見られますが、排除や拒絶は問題解決にはなりません。諦めない対話こそが本当の平和への道であることを覚えて努めたいと願います。
2026年9月7日
現代の私たちにおいても仲間内の平穏を保ちたいがために、和を乱す存在と見做した人たちを排除することは珍しくなく、排除という手段は私たちにとって選び易い解決策なのかもしれません。では、人間を良く知るイエスは私たちの苦労を察して言うことを聞かない人を排除することを是として下さったのでしょうか。でもそうすると前半の努力、先ず二人だけで話し合う、誰かを伴って話し合う、教会に関わってもらうという努力とは矛盾します。三度も努力したから諦めてよいと言われる訳でもないようです。なぜなら、イエスこそ当時の人たちが罪人と呼んで交わりを避けていた徴税人や律法で規定の病の患者、異邦人たちに近寄って積極的に交流していた人だからです。徴税人や異邦人と同様にとの言葉は関わらない対象という意味ではなく、自分が常識と考えているユダヤ教の価値観を相手が共有しているはずと思って話し合うなということかと考えます。
私たちも誰かとの対話で、自分と相手の価値観や倫理観が同じと考えて話し合ってもずれが生じて話し合いにならないことがあります。まず相手を知ることから始めなさいとの意に解釈すれば、間違いを犯した人との関係を切らず、徹底して関係修復のために務めよとイエスは言われたのです。私たちが地上で結ぶ関係は天でも結ばれ、地上で絶つ関係は天でも絶たれるから簡単に諦めるなと教えられたのでしょう。最近の世界や日本では自分たちと異なる文化に育った人たちを価値観が合わない人、平穏を破壊する存在と見做して排除する傾向が強く見られますが、排除や拒絶は問題解決にはなりません。諦めない対話こそが本当の平和への道であることを覚えて努めたいと願います。
2026年9月7日
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