2020/11/09 (MON)

チャプレンより聖書のことば

愚かなおとめたちが買いに行っている間に、花婿が到着して、用意のできている五人は、花婿と一緒に婚宴の席に入り、戸が閉められた。その後で、ほかのおとめたちも来て、『御主人様、御主人様、開けてください』と言った。しかし主人は、『はっきり言っておく。わたしはお前たちを知らない』と答えた。だから、目を覚ましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないのだから。
(マタイによる福音書第25章10~12節)

立教新座中学校・高等学校チャプレン べレク・スミス
キリスト教の暦は、クリスマスの前の日曜日の4週前の日曜日から始まります。この日が降臨節第1主日になります。そして、11月1日の諸聖徒日を過ぎると、キリスト教の暦に従って決められた聖書の朗読箇所で、この世の終わりとそれに伴うイエス・キリストの再臨について注目されていきます。今日の箇所もその一つです。イエスは「天の国」を再び婚宴に例えています。その婚宴を待っている10人のおとめたちがいて、彼女たちは夜中まで花婿が来るのを待っています。古代中近東の習慣では、花婿が花嫁の家に行くときから婚宴が始まります。そして、花婿の到着が遅いので、5人のおとめたちが持っていたともし火が消えそうになり、油を壺に入れて持ってきていたあとの5人のおとめたちから油を分けてもらおうとしますが、自分たちの分が足りなくなると断られます。そこで、冒頭で引用した箇所になります。

イエス自身が自分の再臨のことを予言していますし、古代からあるキリスト教のニケヤ信経では、イエスが世の終わりの日「生きている人と死んだ人とを裁くため、栄光のうちに再び来られます」と書いてあります。裁きの日とも呼ばれるこの「終わりの日」のために何も準備をしない人にならないように、イエスが私たちに警告をしています。終わりの日には宴会があり、そこに呼ばれている私たちは宴会に参加する準備をしなければなりません。フォーマルな宴会やお茶席に入る前には必ず準備が必要になります。シャワーを浴びたり、礼服の準備をして着たり、お祝い金や手紙を書いたりします。フォーマルな席には、決して急に伺うことができません。

私たちが神に招待されている天の国にある婚宴の席も同様に準備が必要になります。しかし、その準備は服装や身体のことではなく、心と魂のことです。お茶席に入る前には必ず手と口を清めますが、手と口だけにとどまってしまえば茶の湯のことを理解していないのです。天の国に入るのも似ています。入る前には必ず心を清めることが必要になります。そのためには自分の罪を懺悔したり、洗礼によって洗い清めたりします。そして、日々の生活でも常に、ともし火が消えることなく備え続けることが求められています。「目を覚ましなさい。その日、その時を知らないのだから」とイエスは言います。イエスが再臨する前に私たちは死ぬのではないかと思います。それが私たちのその日、その時であります。

2020年11月9日

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