2021/01/25 (MON)

チャプレンより聖書のことば

ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤへ行き、神の福音を宣べ伝えて、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と言われた。
(マルコによる福音書第1章14~15節)

立教新座中学校・高等学校チャプレン 石田雅嗣
「時は満ち、神の国は近づいた。福音を信じなさい」とは、「神の福音」のことです。福音とは、Good News、良いニュース、喜びの知らせという意味です。まさに、神の御子がこの世に遣わされました。私たちのためにイエス様が来てくださいました。そのために私たちが、死んだと同様な生き方であった者が生きるようになったのです。私たちのところに救いが来たのです。神の救いが今はっきりと表されたのです。その知らせが伝えられようとしているのです。たとえて言うなら、これは、合格通知のようなものです。

今、ちょうど試験シーズンで、合格通知を待っている人も多いと思います。「いつ来るか、あるいは来ないのか」と、合格通知を不安に待っています。しかし、「時は満ち、神の国は近づいた。福音を信じなさい」とはもうそのような待っている段階ではないのです。不安に待つ段階は旧約聖書の世界です。イエス様の登場は、「無事合格いたしました」と通知がもう来たのです。通知が来た経験がある方もいると思いますが、合格通知、本当に嬉しかったと思います。もうだめだ、絶対落ちたと思う気持ちが、どんなに自信があってもあると思います。やっぱりだめではないかという気持ちです。しかし、そんな気持ちを超えて、合格通知がきたのです。まだ入学はしていませんが、確かに合格通知が来たという段階です。始まったのです。新しい世界が始ります。神の国はもう私たちの内に来ました。もう安心です。あとはこの新約聖書の道を胸ふくらませて行くばかりです。イエス・キリストにおいて実現したこの美しい喜びの知らせ、福音を、教会は宣言しつづけます。教会は、多くの人々に、はっきりと、迷うことなく宣言し続けます。「ほんとうの幸せ」「ほんとうの幸福」がもうあなたの上に来たんですよということです。これは、洗礼を受けているとか受けていないとかは関係ありません。現に、聖書で、この箇所で、イエス様は、全ての人々に伝えています。「時は満ち、神の国は近づいた。福音を信じなさい。」このイエスの宣言で世界は全く変わってしまいました。それは誰も止められません。圧倒的に天から来る力、現実にもう来ている新しい時代です。

イエス様は、神の福音を伝える方であり、神の福音を宣言する方であり、そして、ご自身が、神の福音の内容そのものであり、福音そのものなのです。そして、それは本当の幸せです。みんな幸せになりたいと願っています。お金があれば、幸せになれると思ってあくせくしています。健康があれば、地位があれば、特別な能力があれば、と思って、一生懸命努力しています。それらはみんな、目に見えるものばかりです。ほんとうに、それらが手に入れば人間は幸せになれるのでしょうか。ほんとうの幸せというのは、病気にならないこと、死なないことではなく、病気も死も、あらゆる苦悩をも背負ってくださるイエス・キリストを信じ、イエス・キリストのために生きる、真理のために生きる、他者のために生きること、そして、私たちの体が頭の先から、足の先まで、すべて、イエス・キリストによって守られ、支えられているということに信頼することであると思います。

2021年1月25日

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