2021/09/13 (MON)

チャプレンより聖書のことば

そこでイエスがお尋ねになった。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」ペトロが答えた。「あなたは、メシアです。」 するとイエスは、御自分のことをだれにも話さないようにと弟子たちを戒められた。
(マルコによる福音書第8章29~30節)

立教新座中学校・高等学校チャプレン 石田雅嗣
ペトロは、「あなたは、メシアです」と、イエスにほめられるような百点満点の信仰告白をしました。この「あなたは、メシアです」は、今の私たちにも通じる大変重要な告白です。「メシア」と訳されているところはギリシャ語で、「クリストス」ですから、「あなたは、キリストです」とも言えます。すなわち、ペテロは、「イエスはキリストです」「イエス・キリスト」と今も私たちがしているのと同じ告白を初めてしたわけです。しかし、この箇所の前に、ベトサイダという所で、イエスが盲人を癒されたという奇跡物語がかかれているということも確認しておきたいと思います。

ペトロは、イエスに向かって、「イエス・キリスト」「あなたは私たちを救ってくださる」、そう宣言したのです。このことは本当に素晴らしいことです。ペトロは、今の私たちと同じように、やっぱり救いを求めていましたし、人生の意味を求め、さまざまな苦しみの中で、何が本物かってずっと探し求めて生きていた人物であったと思います。そしてあるとき、突然イエスに出会い、イエスから招かれます。そうして、イエスの救いの言葉を聞き、イエスの業としるしを見せてもらって、尋ねられます。「あなたはわたしを誰だと言うか」。ペトロはまっすぐに答えます。「あなたはキリストです」。つまり、「イエス・キリスト」。

「あなたは、このわたしを闇から救ってくれました。あなたが、永遠の命を与えてくださいます。生ける神があなたのうちにあって、あなたが、この世界を救います。わたしはそれを信じます」と、そう宣言したのです。以降、教会は2千年後の今日までその宣言を繰り返してきました。ここで、大切なことは、救いは理屈ではなく、出会いを通して実現するということです。抽象的な教えではなく、具体的な「救い主」から招かれ、その招きに答えるところに実現するということです。今救いが目の前にあるということです。神はイエスを通して、私たちに、「わたしは、あなたを愛している」と宣言しています。私たちも、「あなたは救い主です」と、「イエスさまはキリストです」と宣言します。その宣言が私たちを救うし、この世界を救うのです。キリスト教はいつも現実から出発します。非常に具体的な宗教です。

マルコによる福音書を編集したマルコの意図はここにあります。盲人の目が開かれるという奇跡の物語の後に、弟子たちの信仰告白にいたるイエスとの対話を並べることによって、イエスはキリストである「救い主」であるということを、具体的に大変な思いをしている盲人の目を開くという、盲人の目を癒して救うという具体的な出来事を通して語られました。

私たちは、礼拝でイエスはキリストであると宣言するだけではなくて、具体的に大変な思いをしている人々を助ける具体的な働きがあるということを、もう一度確認したいと思います。このコロナ禍にあって、オンラインで礼拝することも、単に祈るだけでなく、具体的に大変な思いをしている人々を助ける働きであるということを思いめぐらしていきたいと思います。また、私たちはオンラインでの学びの時を持っています。これも、私たちの学びにとって不都合なことかもしれませんが、やっぱり、医療従事者や療養中の方々など、具体的に大変な思いをしている人々を助ける働きであるということも覚えていきたいと思います。

2021年9月13日

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。


ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。