2022/03/07 (MON)

チャプレンより聖書のことば

更に、悪魔はイエスを高く引き上げ、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せた。そして悪魔は言った。「この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。だから、もしわたしを拝むなら、みんなあなたのものになる。」イエスはお答えになった。「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」
(ルカによる福音書第4章5~8節)

立教新座中学校・高等学校チャプレン べレク・スミス
イエス・キリストが洗礼を受けたすぐあと、荒れ野で40日間の断食をしました。荒れ野にいた最後の日に、悪魔はイエスを誘惑するためにやってきました。そこで、ルカに記されている二番目の誘惑は、冒頭で引用している通りです。この世のすべての国々が悪魔の支配下にあることが分かります。トマス・アクィナスによると、悪霊たちは何よりも自分のことを崇拝することを願っています。モーセの律法でも、第一番目の命令は神以外のものを礼拝してはならないという律法です。このことが実は、モーセの律法の第二番目の、偶像礼拝を禁じる命令にも繋がっています。偶像礼拝を通して様々な悪霊の力を崇拝することがあります。なにを礼拝しているかはっきりと分からないまま礼拝する人も多くいますが、モーセの律法で「神々」を礼拝してはならない理由には、このようなことが含まれています。

人間においても、何よりも自分が崇拝されることを求める人もいます。この世の独裁者たちはナチス・ドイツのヒトラーも北朝鮮のキム・イルソンとその後継者にしても、自分自身の写真や銅像などをあらゆるところに置き、自分への忠誠を求め、自分を神のような存在にしようとする行動が見られます。実は、聖書の創世記に記されている人間への最初の誘惑では、神のようになることが約束されました。人間には様々な罪がありますが、自分が神になることが一番重たい罪であるとされています。

人間は何かを崇拝する動物であるといわれることがあります。人間は自然に自分より力のあるもの、自分より素晴らしいとみられるものなどに惹かれて、それらを拝む傾向があります。その中で、古代からユダヤ教とキリスト教では、神である主以外のものを拝んではならないとはっきりと教えています。犬や猿を拝んでもよいが、人間や悪霊を拝んではならないということは、なかなか説明しにくいです。神以外のものを崇拝してもよいのであれば、人間も悪霊も崇拝してもよいことになります。人間崇拝や悪霊崇拝から自分たちを守りたければ、イエスがモーセの律法から引用した教えを守る必要があるのではないでしょうか。「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」

2022年3月7日

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