2022/05/09 (MON)

チャプレンより聖書のことば

イエスは答えられた。「わたしは言ったが、あなたたちは信じない。わたしが父の名によって行う業が、わたしについて証しをしている。しかし、あなたたちは信じない。わたしの羊ではないからである。わたしの羊はわたしの声を聞き分ける。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしに従う。わたしは彼らに永遠の命を与える。彼らは決して滅びず、だれも彼らをわたしの手から奪うことはできない。」
(ヨハネによる福音書第10章25~28節)

立教新座中学校・高等学校チャプレン べレク・スミス
イエス・キリストは当時のユダヤ人の間では大変有名な人となり、多くの人に「メシア」(神に選ばれた救世主)と思われるようになりました。もちろん、イエス自身も自分を多くの奇跡や印を通してメシアであることを示しておられました。しかし、当時のユダヤ人たちは「メシア」というものを少し勘違いしていたことも事実です。モーセがエジプトからイスラエルの民を救い出したと同じように、2000年前のユダヤ人たちはメシアが自分たちをローマ帝国の支配下と弾圧から救い出してくれると信じていました。

ローマ帝国の支配から自分たちを救い出す気配が見えないなか、イエスがメシアであることを疑い始めた人が多く出てきましたし、イエスへの不満も増えていきました。冒頭の箇所のすぐ後に、ユダヤ人たちはイエスを殺そうとした話がヨハネによって書き残されています。自分たちをすぐにローマ帝国の支配から救い出さないイエスは、多くの人にとって価値のない者となってしまいました。

今でも同じようなことが起きます。神がわたしたちの願いを叶えてくださらなければ、その神を捨ててしまうことがあります。また、神にご利益がなければその神に祈ることもないようなことと似ています。神は人間の願いを叶えるための存在だと思う人はそれなりにいるのではないでしょうか。しかし、聖書の神と神が遣わされたイエスというメシアは、羊を飼う羊飼いのように人々を命の水と緑の牧場に導くために来られたのです。それは、今すぐにということでもなく、最終的には天国と永遠の命へと導くためです。ユダヤ人をローマ帝国の支配から救うためだけに来られたのであれば、今生きているわたしたちと何の関係もないメシアになってしまうのです。モーセはイスラエルの民をエジプトから救い出しましたが、それは直接わたしたちと関係があることではありません。モーセがわたしたちを救うことはありません。しかし、イエスは全人類のためのメシアであるがゆえに、どの時代においても目先にある弾圧や苦しみからわたしたちを救い出すとは限りません。イエスはそれよりはるかに深い罪の束縛からわたしたちを救い出そうとしているのです。それを理解することがイエスをメシアとして受け入れることの第一歩になります。イエスの声を聞いてイエスに従う羊とはこの罪からの救いを願う人々です。

2022年5月9日

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