我々人間の社会では、結婚式やお葬式などといった正式な場に行くとき、普段と違う恰好をし、その時に備えて準備をします。正式な宴会やお茶会なども同じですし、地位の高い人に会いに行くときも同じことをします。もし、総理大臣と面談をすることになれば、おそらく殆どの人は自分の服装や見た目をかなり綺麗に整えてから面談に向かうと思います。これは自然のことであって、良いことでもあります。冒頭の聖書の言葉に登場する洗礼者ヨハネの働きはまさにわたしたちが自分を綺麗に整えることができるための働きです。

イエス・キリストは神が人間として生まれたものであると、ヨハネとその他の預言者と使徒が証言しています。そして、わたしたちがイエスに出会うための準備をするように呼びかけています。ただし、イエスと出会うための準備はネクタイを締めたり、スーツを着たり、髪の毛を整えたりすることではありません。イエスと出会うために必要な準備は、洗礼者ヨハネが言うように、悔い改めて洗礼を受けることです。悔い改めと洗礼はわたしたちの心を洗うものです。神と人間との関係において、一番の問題は人間の罪であり、神であるイエスと出会い、彼の弟子となるためにはまず心を清めなくてはなりません。

わたしたちは多くの場合、他の人の目に見えるところだけを綺麗に整えようとすることがありますが、それがわたしたち人間の愚かさの一つであります。インスタグラムで見える自分だけをよくしていこうと思うのであれば、人生そのものを無駄にしてしまいます。洗礼者ヨハネの呼びかけを聞き、自分の罪と向き合い、その罪を悔い改め、洗礼を受けるものは神に赦され、永遠の命の道の第一歩を踏み出すことになります。見た目だけをよくしていこうとする人は、人に褒められることにはなりますが、そのような幸せは一瞬で過ぎ去ってしまうことです。罪の悔い改めから始まるイエスの道に従うものは、いますぐに人に賛美されることはないかもしれませんし、インスタグラムに載せてもフォロワーが増えることはないかもしれません。ただし、自分が完全なものになる道、そして過ぎ去ることのない幸せを生きる道に踏み出すことになります。

クリスマスも近づき、人間となった神に出会う準備をするわたしたちは、洗礼者ヨハネのことばを心にとめていただきたいと思います。洗礼を受けたものはもう一度その洗礼の意味を思い起こし、洗礼を受けていないものは罪の悔い改めの洗礼を受けること真剣に考える必要があります。

2022年12月5日