運命的な出会いと自由な環境が
起業の出発点になった
卒業生が語る立教新座で培ったMY SPIRIT~OBインタビュー~渡邉勇輝さん
2025/05/26 (MON)
卒業生インタビュー
OVERVIEW
立教大学在学中に陸上スパイク比較サイト「Shoes Picks」を立ち上げ、現在は、AI駆動型の広告代理店事業や科学的に足を速くさせるAI事業など、ユニークな事業を創出し続けるAIネイティブな会社「株式会社いいんじゃ」の代表を務める渡邉勇輝さんに、お話を伺いました。
渡邉 勇輝さん(2014年度卒業)/株式会社いいんじゃ

AIネイティブに事業を創出する会社を起業
立教大学卒業後はベンチャー企業に入社し、主に新規事業を立ち上げる役割を担っていました。そこで得た経験や知見を生かし、2020年に「株式会社いいんじゃ」を創業。また、個人では立教大学大学院人工知能科学研究科で外部講師として毎年講話を行うなど、精力的に活動しています。
「株式会社いいんじゃ」では、主に3つの事業を展開中です。
一つは「AI駆動型のマーケティング・開発事業」で、クライアントの事業におけるあらゆるプロセスにAI・デジタルを組み込み、イノベーティブな事業開発や事業グロースを支援しています。大手広告代理店のAIプロダクトや、大手通信企業の生成AIプロダクトなど、さまざまな企業のビジネスを支援しています。
もう一つが「Picker」というサイトの運営で、こちらはユーザーに最適なスポーツ用品を提案するサービスです。AIやビッグデータを導入しているため、たとえスポーツ用品について知識がなかったとしても、自分のプレースタイルに合ったアイテムを容易に探し出すことなどが可能です。
そして3つ目の事業が「Smart Dash」というサービスです。走ることを科学的に解析・分析をして、“データドリブンに走りを改善する”サービスで、オリンピック代表選手を含むプロのアスリート、そして立教新座の陸上競技部にも活用していただいています。
スポーツテック領域の「Picker」と「Smart Dash」は、立教新座で過ごした日々があったからこそ誕生したサービスだと言えます。立教新座高校時代はたくさんの運命的な出会いや貴重な体験に恵まれました。
「株式会社いいんじゃ」では、主に3つの事業を展開中です。
一つは「AI駆動型のマーケティング・開発事業」で、クライアントの事業におけるあらゆるプロセスにAI・デジタルを組み込み、イノベーティブな事業開発や事業グロースを支援しています。大手広告代理店のAIプロダクトや、大手通信企業の生成AIプロダクトなど、さまざまな企業のビジネスを支援しています。
もう一つが「Picker」というサイトの運営で、こちらはユーザーに最適なスポーツ用品を提案するサービスです。AIやビッグデータを導入しているため、たとえスポーツ用品について知識がなかったとしても、自分のプレースタイルに合ったアイテムを容易に探し出すことなどが可能です。
そして3つ目の事業が「Smart Dash」というサービスです。走ることを科学的に解析・分析をして、“データドリブンに走りを改善する”サービスで、オリンピック代表選手を含むプロのアスリート、そして立教新座の陸上競技部にも活用していただいています。
スポーツテック領域の「Picker」と「Smart Dash」は、立教新座で過ごした日々があったからこそ誕生したサービスだと言えます。立教新座高校時代はたくさんの運命的な出会いや貴重な体験に恵まれました。
運命を変えた先生との出会い
陸上競技部の推薦入試第一期生として立教新座高校に入学しましたが、元々は野球をやるつもりで進学先を探していました。中学3年生の時に学校見学で立教新座に足を運んだ際も、目的はあくまでも野球部だったのです。そんな自分の想定を良い意味で覆してくれたのが、陸上競技部の顧問である香取隆介先生との偶然の出会いでした。
小中と野球のクラブチームに所属するかたわら、中学校では陸上部に所属していたこともあって、野球部の見学を終えたあと陸上競技部の練習風景を眺めていました。そこで先生に声をかけられ、陸上競技部のビジョン、どんな戦略をもって練習に取り組んでいるのか、環境整備の推進、さらには立教新座全体として文武両道やリーダーシップを大切にしていることなど、いろんなお話をしていただきました。
お話を聞いているうちに先生の語るビジョンの中に自分がいる姿が具体的にイメージでき、激震が走るのと同時にとても心が躍ったことを覚えています。その帰り道には、「こんな出会い二度とない。ここしかない」と、すでに陸上競技部での推薦入試に挑戦することを決意していました。「野球のスポーツ推薦で進学する」「一般入試を受験する」など、いくつかの選択肢を手放すことになる大きな決断でしたが、あの時の選択は正しかったと、今も胸を張って言えますね。
自分が経営者になって改めて思うのは、ビジョンやゴールを明確にし、それを実現するためどう戦略を練っていくのか、自分なりに答えを出すことが重要だということ。立教新座には自分なりの答えを出せる人を育てようという雰囲気があり、香取先生はまさに経営者のような側面も持ち合わせています。振り返ると、そういった校風や考え方に、当時から共感していたのかもしれませんね。
小中と野球のクラブチームに所属するかたわら、中学校では陸上部に所属していたこともあって、野球部の見学を終えたあと陸上競技部の練習風景を眺めていました。そこで先生に声をかけられ、陸上競技部のビジョン、どんな戦略をもって練習に取り組んでいるのか、環境整備の推進、さらには立教新座全体として文武両道やリーダーシップを大切にしていることなど、いろんなお話をしていただきました。
お話を聞いているうちに先生の語るビジョンの中に自分がいる姿が具体的にイメージでき、激震が走るのと同時にとても心が躍ったことを覚えています。その帰り道には、「こんな出会い二度とない。ここしかない」と、すでに陸上競技部での推薦入試に挑戦することを決意していました。「野球のスポーツ推薦で進学する」「一般入試を受験する」など、いくつかの選択肢を手放すことになる大きな決断でしたが、あの時の選択は正しかったと、今も胸を張って言えますね。
自分が経営者になって改めて思うのは、ビジョンやゴールを明確にし、それを実現するためどう戦略を練っていくのか、自分なりに答えを出すことが重要だということ。立教新座には自分なりの答えを出せる人を育てようという雰囲気があり、香取先生はまさに経営者のような側面も持ち合わせています。振り返ると、そういった校風や考え方に、当時から共感していたのかもしれませんね。

陸上競技部で芽生えた起業家精神
期待を胸に入学し、晴れて陸上競技部の一員になったものの、その後順風満帆にすべてがうまくいったかというと、そうではありません。陸上は基本的に個人競技なこともあり、部員それぞれが個々に自信の技術を向上させるような雰囲気で、部としての一体感に欠けていると感じたのです。
その状況を変えようと一緒に奔走したのが、後に「株式会社いいんじゃ」の創業メンバーとなる同期の仲間たちでした。しかし、最初は思いが強い分、自分たちの考えを一方的に他の部員に押し付けてしまい、時には衝突してしまうこともありました。
大きな転機となったのは、部長を務めた3年生の時。当時、ベストセラーとなっていたビジネス書『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海著/ダイヤモンド社/2009年)を読み、ドラッカーのマネジメント理論に出会ったのです。本を通して「人はそれぞれが持つ個性や強みを生かし、弱いところは支え合えばいい」と学び、実践していきました。個人の目標を部員同士で共有することで、一緒にがんばったり、大会では互いに応援し合ったりするようになり、部の雰囲気はどんどん変化していきました。そうした結果、個人競技では誰も関東大会すら出場できていないなか、4×100mリレー競技で創部初のインターハイ出場を実現できたのです。
当時はあまり意識していませんでしたが、今思えば、それはまさに立教新座のリーダーシップ教育に通じるものかもしれません。何より、その時の取り組みや成功体験が、起業家精神を育んでくれたのだと思います。
その状況を変えようと一緒に奔走したのが、後に「株式会社いいんじゃ」の創業メンバーとなる同期の仲間たちでした。しかし、最初は思いが強い分、自分たちの考えを一方的に他の部員に押し付けてしまい、時には衝突してしまうこともありました。
大きな転機となったのは、部長を務めた3年生の時。当時、ベストセラーとなっていたビジネス書『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海著/ダイヤモンド社/2009年)を読み、ドラッカーのマネジメント理論に出会ったのです。本を通して「人はそれぞれが持つ個性や強みを生かし、弱いところは支え合えばいい」と学び、実践していきました。個人の目標を部員同士で共有することで、一緒にがんばったり、大会では互いに応援し合ったりするようになり、部の雰囲気はどんどん変化していきました。そうした結果、個人競技では誰も関東大会すら出場できていないなか、4×100mリレー競技で創部初のインターハイ出場を実現できたのです。
当時はあまり意識していませんでしたが、今思えば、それはまさに立教新座のリーダーシップ教育に通じるものかもしれません。何より、その時の取り組みや成功体験が、起業家精神を育んでくれたのだと思います。
「スポーツは才能ではない」ことを学んだ
先ほどお話した通り、実は「株式会社いいんじゃ」創業メンバー5人のうち4人が立教新座高校陸上競技部から、もう1人は立教大学の陸上競技部で共に切磋琢磨した仲間です。
さらに言えば、「Picker」の前身となる「Shoes Picks」はそのメンバーと立教大学在学中に立ち上げたサービスであり、「Smart Dash」は陸上競技部での経験をヒントに生まれたプロジェクトです。そう考えると、やはり「株式会社いいんじゃ」の原点は立教新座時代にあるのだと思います。
当時はとにかく「課題は何で、速くなるためにはどうすればいいか」ということを考え、香取先生と一緒に試行錯誤を繰り返す日々でした。先生が「世の中にはこういう研究があるらしい」と資料を持ってきてくれることもあり、「学習しながらスポーツをする」ということを初めて経験しました。
突出して成績が良いわけでもなかった私たちが、最終的にはインターハイ出場を叶えるまでに成長でき、改めて実感したのが「スポーツは才能ではない」ということ。科学的な裏付けを踏まえてロジカルに練習に取り組めば、誰もが成果を出せるのです。立教大学の陸上競技部でもその取り組み方を仲間と継続したところ、何と一人は日本陸上競技選手権大会にも出場できました。
「Smart Dash」は、まさに「科学的に練習に取り組む」ことをサポートするための事業であり、立教新座での経験や学びがあったからこそ生まれたプロジェクトです。ただ言われたことをこなしたり、闇雲に練習したりしているだけでは決して辿り着けませんでした。そう考えると「自分で考え実践する」ことの大切さを痛感しますし、立教新座はそういった主体性・自主性を伸ばすのにはとても適した環境だったと感じます。
さらに言えば、「Picker」の前身となる「Shoes Picks」はそのメンバーと立教大学在学中に立ち上げたサービスであり、「Smart Dash」は陸上競技部での経験をヒントに生まれたプロジェクトです。そう考えると、やはり「株式会社いいんじゃ」の原点は立教新座時代にあるのだと思います。
当時はとにかく「課題は何で、速くなるためにはどうすればいいか」ということを考え、香取先生と一緒に試行錯誤を繰り返す日々でした。先生が「世の中にはこういう研究があるらしい」と資料を持ってきてくれることもあり、「学習しながらスポーツをする」ということを初めて経験しました。
突出して成績が良いわけでもなかった私たちが、最終的にはインターハイ出場を叶えるまでに成長でき、改めて実感したのが「スポーツは才能ではない」ということ。科学的な裏付けを踏まえてロジカルに練習に取り組めば、誰もが成果を出せるのです。立教大学の陸上競技部でもその取り組み方を仲間と継続したところ、何と一人は日本陸上競技選手権大会にも出場できました。
「Smart Dash」は、まさに「科学的に練習に取り組む」ことをサポートするための事業であり、立教新座での経験や学びがあったからこそ生まれたプロジェクトです。ただ言われたことをこなしたり、闇雲に練習したりしているだけでは決して辿り着けませんでした。そう考えると「自分で考え実践する」ことの大切さを痛感しますし、立教新座はそういった主体性・自主性を伸ばすのにはとても適した環境だったと感じます。
これからの時代、自分らしく考えられることが重要になる
私は高校から立教新座で学びましたが、入学してすぐに「自由」という印象を抱きました。自分の好きなことに没頭する人が多いですし、その“好きなこと”も読書や音楽、ゲーム、昆虫などさまざまです。個性的な人も多くて最初は圧倒されましたね。しかし、個性的だからと距離を置かれるということはなく、むしろ自分らしさを尊重し合い、お互いに興味をもってコミュニケーションできるという環境でした。さらに私たちの学年は「笑い」にストイックだったので(笑)、面白さを探求する中で「絶対的なルールなどはなく、自由に発想して良いんだ」という学びも得られたと感じています。
先生方も生徒の自律を大切にしてくれるので、基本的に何かを押し付けられることはなかったように思います。ただし、その分成績評価についてはシビアだったかもしれません(笑)。伸び伸びやれる環境かつ気を引き締めていく必要もあり、そういった意味でも主体性や自主性がとても磨かれたと感じます。社会では「プロセスよりも結果重視」という厳しい現実もあるので、それを高校時代に予行演習のように体験できたのはとてもいい経験でした。
「株式会社いいんじゃ」を創業して数年経ち、これまでもさまざまな事業を展開してきましたが、「自分らしく考え、自分らしい発言ができる」ことの重要性をずっと感じています。現在はモノやサービスがあふれ返り、インフラも整備されて安全に暮らしていける時代です。ある種の飽和状態に対して「何かを改善しよう」と考えることに、大きな意味がなくなってきているのではないでしょうか。それよりも、前提から疑い直して別の課題や論点を探る“探索”が大切で、その上で新しい何かを生み出すことが求められているのだと思います。
立教新座を卒業後は立教大学の経営学部に進学しましたが、立教新座の卒業生は良くも悪くも目立ってしまう(笑)。というのも、自然と自分らしく考え、自分らしい発言ができる人が多いからです。立教新座への進学を考えている方にはぜひ、立教新座の自由な環境で自分の興味や考えを突き詰めて欲しいと思っています。そして、いずれは日本社会を良い方向へ変えていただけたらうれしいですね。
(2025年2月取材)
先生方も生徒の自律を大切にしてくれるので、基本的に何かを押し付けられることはなかったように思います。ただし、その分成績評価についてはシビアだったかもしれません(笑)。伸び伸びやれる環境かつ気を引き締めていく必要もあり、そういった意味でも主体性や自主性がとても磨かれたと感じます。社会では「プロセスよりも結果重視」という厳しい現実もあるので、それを高校時代に予行演習のように体験できたのはとてもいい経験でした。
「株式会社いいんじゃ」を創業して数年経ち、これまでもさまざまな事業を展開してきましたが、「自分らしく考え、自分らしい発言ができる」ことの重要性をずっと感じています。現在はモノやサービスがあふれ返り、インフラも整備されて安全に暮らしていける時代です。ある種の飽和状態に対して「何かを改善しよう」と考えることに、大きな意味がなくなってきているのではないでしょうか。それよりも、前提から疑い直して別の課題や論点を探る“探索”が大切で、その上で新しい何かを生み出すことが求められているのだと思います。
立教新座を卒業後は立教大学の経営学部に進学しましたが、立教新座の卒業生は良くも悪くも目立ってしまう(笑)。というのも、自然と自分らしく考え、自分らしい発言ができる人が多いからです。立教新座への進学を考えている方にはぜひ、立教新座の自由な環境で自分の興味や考えを突き詰めて欲しいと思っています。そして、いずれは日本社会を良い方向へ変えていただけたらうれしいですね。
(2025年2月取材)
渡邉 勇輝 さんYuki Watanabe
株式会社いいんじゃ 代表取締役
2014年度卒業生
2015年3月 立教新座高等学校卒業
2015年4月 立教大学経営学部経営学科入学
2019年3月 立教大学経営学部卒業
2019年4月 テックベンチャーへ入社
2020年11月 「株式会社いいんじゃ」を創業
現在に至る
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